昨今、インターネット等でアフィリエイト広告を目にすることが多くなっています。

アフィリエイト広告にも不当表示など景品表示法の規制が及びます。

このコラムでは、アフィリエイト広告について、特に注意すべき点を解説します。

1 アフィリエイト広告とは何か?

アフィリエイト広告とは、簡単に言いますと、ブログなどのウェブサイトの運営者(アフィリエイター)が他者の提供する商品やサービスのバナー広告などを掲載し、そのサイトを閲覧した人がバナー広告などをクリックしたり、実際に商品やサービスを購入したりした場合、広告主からアフィリエイターに対し報酬が支払われるものです。

インターネットの発達に伴い、近年、アフィリエイト広告という言葉を耳にすることが多くなってきたと思います。

実際、一般消費者に対する誘引効果は大きいですので、よく利用されている広告手法といえます。

2 アフィリエイト広告に関わる主体

アフィリエイト広告には、以下のような主体が関わることが多いです。

(1)広告主

アフィリエイト広告における広告主は、インターネット上でECサイトを開設し、商品やサービスを提供する事業者です。

広告主は、アフィリエイトサービスプロバイダー(ASP)と契約し、広告を行うことが多いです。

(2)アフィリエイトサービスプロバイダー(ASP)

アフィリエイトサービスプロバイダー(ASP)は、広告主とアフィリエイターをつなぐ、仲介業者のような存在です。

実際に掲載される広告の管理やアフィリエイターへの報酬の支払いなどを行います。

これらの業務を行うことで、広告主からアフィリエイターに支払われる報酬の一定割合を手数料として得ることが多いです。

(3)アフィリエイター

アフィリエイターは、自らが管理するウェブサイトで広告を行う個人または法人です。

自らのウェブサイトにアフィリエイト広告を掲載し、成果報酬としてアフィリエイト広告の収入を得ます。

3 アフィリエイト広告における問題点

景品表示法上の不当表示に関する責任を負うためには、その者が自己の供給する商品等の取引について表示をした事業者である必要があります。

これは、いわゆる、表示主体性の問題といわれます。

アフィリエイト広告における広告主は、アフィリエイト広告の基本的な表示内容を決定していれば、表示内容の決定に関与した事業者にあたるとして、表示主体性が認められるといえるでしょう。

裏を返せば、アフィリエイターが広告主やASPの指示を超えて、虚偽の含まれた広告などを行った場合、広告主が表示主体として責任を負うかどうかについては慎重な判断が必要です。事案の個別具体的な事情を踏まえ、広告主がどれくらい広告内容の決定に関与することができたかなどを考慮することになります。

また、広告主も、アフィリエイターに広告を丸投げすることは許されず、どのような広告がなされているかなどを管理する体制を整えることは求められます。

このような体制を整えず、アフィリエイターにより虚偽等が含まれるアフィリエイト広告がなされた場合、広告主にも表示主体性が認められ、責任を負う可能性があります。

他方、ASPとアフィリエイターは、商品等を提供する主体ではないため、基本的には、景品表示法上の責任を負うことはありません。

ただ、ASPやアフィリエイターが広告主と実質的に同一であるとみられるような場合、表示主体性が認められ、景品表示法上の責任を負う可能性はありますので、注意が必要です。

4 まとめ

以上見てきたように、アフィリエイト広告においては、広告主などの主体が景品表示法上の責任を負うことがあります。

アフィリエイターやASPという複数の主体が関わる点が一般的な広告と異なりますが、表示される広告が不当表示の規制を受けることに変わりはありません。

そのため、アフィリエイト広告をお考えの場合、不当表示など景品表示法上の規制には注意が必要です。

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■この記事を書いた弁護士

弁護士法人グリーンリーフ法律事務所
弁護士 権田 健一郎

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