No.1広告とは?適法に行うにはどうすれば良い? 弁護士がわかりやすく解説

景品表示法上問題となる広告にNo.1広告があります。

No.1広告については、一般消費者の目を引くものではありますが、時折、違反事例が報道される等、我々にとって身近なものであるといえます。

このコラムでは、No.1広告について、適法となるための要件を詳しく解説します。

1 No.1広告とは何か?

1 No.1広告とは何か?

世に出ている商品やサービスに関する広告の中には、「業界No.1」、「●●ランキング第1位」といった広告が見られます。

ある分野または範囲において一番であることを示すことにより、その商品またはサービスの品質が良いことを強調し、一般消費者の購買を促す効果があります。

ただ、一般消費者の目を引き、購買意欲を促進する効果が強い反面、違法に行われた場合、一般消費者の誤認を生じるおそれもあります。

景品表示法上は、不当表示である優良誤認表示や有利誤認表示にあたり得る可能性があります。

以下では、No.1広告を適法に行うための要件や事業者が気をつけるべきポイントを詳しく解説します。

2 No.1表示を適法に行うための要件

(1)No.1表示の内容が客観的な調査に基づいていること

2 No.1表示を適法に行うための要件

客観的な調査といえるためには、以下のいずれかの要件を満たす必要があります。

①当該調査が関連する学術界又は産業界において一般的に認められた方法又は関連分野の専門家多数が認める方法によって実施されていること
②当該調査が社会通念上及び経験則上妥当と認められる方法で実施されていること

②については、表示の内容、商品等の特性、関連分野の専門家が妥当と判断するか否か等の点を考慮して判断されます。

(2)調査結果を正確かつ適正に引用していること

(2)調査結果を正確かつ適正に引用していること

No.1表示を行うにあたって客観的な調査を実施していても、当該調査結果を正確かつ適正に引用しなければ、その表示は計表示法上問題となり得ます。

特に、以下の①~④については正確かつ適正に引用する必要があります。

①商品等の範囲

広告等の表示物から一般消費者が認識する商品等の範囲と調査の対象となった商品等の範囲は一致している必要があります。

例えば、「健康食品売上No.1」と表示している場合、一般消費者は、当該商品が健康食品全体の中で売り上げが一番であると認識します。

しかし、実際には、中高年向けの健康食品の中で売り上げが一番であるにすぎない場合、景品表示法上違法となり得る可能性があります。

②地理的範囲

広告で表示されている地理的範囲と調査の対象となった地理的範囲は一致していることが必要です。

例えば、ただ単に、「地域No.1」とだけ表示した場合、一般消費者は、その表示のみでは調査がなされた地域が認識できず、広告上の地理的範囲と調査の対象である地理的範囲に乖離が生じ、景品表示法上違法となる可能性があります。

③調査期間・時点

調査が行われたのが表示の時点から離れた過去であるにもかかわらず、あたかも近い時期の調査によりNo.1であるように表示することは景品表示時法上違法になる可能性があります。

そのため、No.1表示を行う場合は、直近の調査結果に基づいて表示するとともに、調査の対象となった期間と時点を明示することが望ましいといえます。

④調査の出典

No.1表示の根拠となる調査の出典が表示されていない場合、一般消費者が調査の客観性について疑問を抱く可能性があるため、No.1表示の根拠となる調査の出典を明示することが望ましいといえます。

例えば、ある調査会社が行った調査結果に基づくNo.1表示の場合、調査会社名および調査の名称を表示することが、また、ある雑誌に掲載されている調査結果に基づくNo.1表示の場合、雑誌名および発行年月日、調査の名称を表示することが望ましいでしょう。

これ以外に、調査の出典に加えて、調査方法や調査結果について、表示物にホームページアドレスを記載するなどして、一般消費者が確認することができるようにすることも考えられます。

3 おわりに

3 おわりに

広告は、消費者を誘引するための有効な手段ではありますが、やり方を間違えると、ステマ広告として、景品表示法上の規制・行政処分等を受けることになってしまいます。

ステマ広告に当たるかどうかについては、法律に関する専門的な知識や判断が必要になりますので、お困りの場合は、お早めに弁護士に相談されることをおすすめします。

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■この記事を書いた弁護士
弁護士法人グリーンリーフ法律事務所
弁護士 権田 健一郎
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