不幸にして会社を破産せざるを得ない場合、会社経営者の方が最も気にされるのは、ご自分も破産手続をとらなければいけないかどうか、という点だと思います。

今回は、この点について、さいたま市大宮区で30年以上の実績のある弁護士法人グリーンリーフ法律事務所が解説します。

破産手続開始原因と破産手続きの開始決定について

(破産手続開始の原因)
第十五条 債務者が支払不能にあるときは、裁判所は、第三十条第一項の規定に基づき、申立てにより、決定で、破産手続を開始する。
2 債務者が支払を停止したときは、支払不能にあるものと推定する。
(法人の破産手続開始の原因)
第十六条 債務者が法人である場合に関する前条第一項の規定の適用については、同項中「支払不能」とあるのは、「支払不能又は債務超過(債務者が、その債務につき、その財産をもって完済することができない状態をいう。)」とする。
2 前項の規定は、存立中の合名会社及び合資会社には、適用しない。

破産法は、法人の場合、「支払不能または債務超過」である場合に申し立てがあった場合には、裁判所は、破産手続の開始決定をする、としています。

また、上記条文の通り、「債務者が支払い不能にあるときは」、申立てがあった場合に、「裁判所は、第三十条第一項の規定に基づき、申立てにより、決定で、破産手続を開始する。」としています。

このように、法人が破産手続を申立て場合であっても、代表者が破産手続を申し立てなければいけない、という規定は、破産法の条文上はありません。

(破産手続開始の決定)
第三十条 裁判所は、破産手続開始の申立てがあった場合において、破産手続開始の原因となる事実があると認めるときは、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、破産手続開始の決定をする。
一 破産手続の費用の予納がないとき(第二十三条第一項前段の規定によりその費用を仮に国庫から支弁する場合を除く。)。
二 不当な目的で破産手続開始の申立てがされたとき、その他申立てが誠実にされたものでないとき。
2 前項の決定は、その決定の時から、効力を生ずる。

以上の通り、法人が破産したからと言って、代表者が破産手続を申し立てなければいけない、という規定は、破産法の条文上はありません。

従って、法人が破産した場合であっても、代表者が破産手続をしなければいけない、ということはありません。

代表者が取りうる債務整理

代表者の債務整理の必要性

ところで、代表者の方は、法人の借入れ債務や、場合によっては取引債務も保証している場合がみられます。

確かに、法人が破産した場合でも代表者が破産申し立てをしなければいけないということはありませんが、法人が破産すれば、保証している債務について、債権者は支払いを請求してきます。

そして、これを放置していれば、訴訟や強制執行などの手続をとられてしまうことになります。

そこで、代表者も、保証している債務について、何らかの債務整理をしなければいけないことになります。その選択肢には、当然破産も含まれます。

破産以外の債務整理はないのか

代表者が取りうる選択肢としては、破産しかないのでしょうか。

破産手続は、基本的にはすべての財産の管理処分権を失いますので、住宅を維持したい場合は、破産手続はできれば回避したいところです。

また、破産手続を期間中は職業に対する制約がありますので、これに抵触する人の場合にも、破産手続を回避したいと考えることになります。

破産以外の債務整理① 個人再生

個人再生とは、裁判所に申立てをして再生手続の開始決定を得た後、返済計画を立て、その返済計画が認可・確定した場合には、その返済計画に従って分割返済していくという手続です。

弁済期間は、原則として3年間・最長5年間です。

返済をきちんとすることができた場合には、残りの借金の支払いは免除されます。

(住宅ローン以外の負債を返済計画に基づいて返済し終えても、住宅ローンが残っている場合で、その後に個人再生や破産をする場合には、免除の効果が得られないことがあります)

個人再生手続には、①小規模個人再生手続と②給与所得者再生手続の2つがあります。

多くの場合、①小規模個人再生手続の方が弁済額が少なくなることが多いため、こちらの手続を使います。ただし、②給与所得者再生手続は、小規模個人再生手続と異なり、再生計画に同意しないという「議決権者が議決権者総数の半数に満たず、かつ、その議決権の額が議決権者の議決権の総額の二分の一を超えない」という条件が不要なので、反対者が多い・反対者の金額が多い可能性がある場合などには利用を検討することもあります。

(再生計画案の決議)
第二百三十条 裁判所は、一般異議申述期間(特別異議申述期間が定められた場合には、当該特別異議申述期間を含む。)が経過し、かつ、第百二十五条第一項の報告書の提出がされた後でなければ、再生計画案を決議に付することができない。当該一般異議申述期間内に第二百二十六条第一項本文の規定による異議が述べられた場合(特別異議申述期間が定められた場合には、当該特別異議申述期間内に同条第三項の規定による異議が述べられた場合を含む。)には、第二百二十七条第一項本文の不変期間を経過するまでの間(当該不変期間内に再生債権の評価の申立てがあったときは、再生債権の評価がされるまでの間)も、同様とする。
2 裁判所は、再生計画案について第百七十四条第二項各号(第三号を除く。住宅資金特別条項を定めた再生計画案については、第二百二条第二項第一号から第三号まで)又は次条第二項各号のいずれかに該当する事由があると認める場合には、その再生計画案を決議に付することができない。
3 再生計画案の提出があったときは、裁判所は、前二項の場合を除き、議決権行使の方法としての第百六十九条第二項第二号に掲げる方法及び第百七十二条第二項(同条第三項において準用する場合を含む。)の規定により議決権の不統一行使をする場合における裁判所に対する通知の期限を定めて、再生計画案を決議に付する旨の決定をする。
4 前項の決定をした場合には、その旨を公告するとともに、議決権者に対して、同項に規定する期限、再生計画案の内容又はその要旨及び再生計画案に同意しない者は裁判所の定める期間内に同項の規定により定められた方法によりその旨を回答すべき旨を通知しなければならない。
5 第三項の決定があった場合における第百七十二条第二項(同条第三項において準用する場合を含む。)の規定の適用については、同条第二項中「第百六十九条第二項前段」とあるのは、「第二百三十条第三項」とする。
6 第四項の期間内に再生計画案に同意しない旨を同項の方法により回答した議決権者が議決権者総数の半数に満たず、かつ、その議決権の額が議決権者の議決権の総額の二分の一を超えないときは、再生計画案の可決があったものとみなす。

個人再生については、こちらもご参照ください。

破産以外の債務整理② 経営者保証ガイドラインによる債務整理

経営者保証ガイドラインとは、正確には、「経営者保証に関するガイドライン」と言い、「中小企業、経営者、金融機関共通による自主的なルール」です。

法的拘束力はないものの、関係者は、尊重し、遵守することが期待されています。

そして、会社について法的整理・準則型手続による整理をしていることを前提に、この「経営者保証ガイドライン」において定められたルールに従って行う債務整理が、「経営者保証ガイドライン」を利用した債務整理です。

 詳細は、

をご覧ください。

弁護士法人グリーンリーフ法律事務所の特徴

開設以来、数多くの法人破産申立・破産管財事件・代表者破産に対応してきた弁護士法人グリーンリーフ法律事務所には、破産手続に精通した弁護士が数多く在籍し、また、法人破産専門チームも設置しています。

このように、弁護士法人グリーンリーフ法律事務所・法人破産専門チームの弁護士は、破産手続や代表者保証に関する法律相談を日々研究しておりますので、法人破産や代表者の債務整理に関して、自信を持って対応できます。

最後に

グリーンリーフ法律事務所は、設立以来30年以上の実績があり、17名の弁護士が所属する、埼玉県ではトップクラスの法律事務所です。

また、各分野について専門チームを設けており、ご依頼を受けた場合は、専門チームの弁護士が担当します。まずは、一度お気軽にご相談ください。

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■この記事を書いた弁護士
弁護士法人グリーンリーフ法律事務所
弁護士 野田 泰彦
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