表示を行う事業者に求められる措置について弁護士が詳しく解説

景品表示法上の表示について、実務上は、公表されている指針に基づいて運用がなされています。

表示を行う事業者としては、注意するべきポイントがいくつかあります。

このコラムでは、事業者が特に注意するべきポイントについて詳しく解説します。

1 事業者が講ずべき表示等の管理上の措置とは?

1 事業者が講ずべき表示等の管理上の措置とは?

景品表示法は、第26条第1項で、「事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、景品類の提供又は表示により不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害することのないよう、景品類の価格の最高額、総額その他の景品類の提供に関する事項及び商品又は役務の品質、規格その他の内容に係る表示に関する事項を適正に管理するために必要な体制の整備その他の必要な措置を講じなければならない。」と規定しています。

「必要な措置」とは、景品類の提供に関して違法となるかどうかを判断する上で必要な事項を確認することや確認した事項を適正に管理するための措置を講じることをいいます。

2 実務上運用されている指針について

2 実務上運用されている指針について

(1)事業者に要求される措置

実務上は、事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針によって運用がなされています。

表示等の管理上の措置として、事業者は、その規模や業態、取り扱う商品又は役務の内容等に応じ、必要かつ適切な範囲で、次に示す事項に沿うような具体的な措置を講ずる必要があります。

  1. 景品表示法の考え方の周知・啓発
  2. 法令順守の方針等の明確化
  3. 表示等に関する情報の確認
  4. 表示等に関する情報の共有
  5. 表示等を管理するための担当者等を定めること
  6. 表示等の根拠となる情報を事後的に確認するために必要な措置をとること
  7. 不当な表示等が明らかになった場合における迅速かつ適切な対応

(2)①について

(2)①について

事業者には、不当表示等の防止のために、景品表示法の考え方について、表示等に関係している役員及び従業員にその職務に応じた周知・啓発を行うことが要求されています。

例えば、以下のような方法が考えられます。

  • 社内において景品表示法について周知活動を行う
  • 社内において景品表示法に関する研修・講習を行う
  • 対象となる社員について景品表示法に関する外部のセミナー等に参加させる

(3)②について

事業者には、不当表示等の防止のため、景品表示法を含む法令遵守の方針や法令遵守のためにとるべき手順等を明確化することが要求されています。

例えば、以下のような方法が考えられます。

  • 法令遵守の方針等を社内規定の中に定める
  • 禁止される表示の内容等について紹介したマニュアルを社内で周知する

(4)③について

(4)③について

事業者には、①景品類を提供しようとする場合、違法とならない景品類の価格の最高額・総額・種類・提供の方法等を、②とりわけ、商品又は役務の長所や要点を一般消費者に訴求するために、その内容等について積極的に表示を行う場合には、当該表示の根拠となる情報を確認することが要求されています。

例えば、以下のような方法が考えられます。

  • 企画・設計段階における表示が実際の商品の性質等を合致しているかを確認すること

(5)④について

(5)④について

事業者には、その規模等に応じ、表示等に関する情報を当該表示等に関係する各組織部門が

不当表示等を防止するうえで必要に応じて共有し確認できるようにすることが要求されています。

例えば、以下のような方法が考えられます。

  • 関係する従業員等に対し、朝礼やミーティング等において、表示等の根拠となる情報を共有する
  • 社内ネットワークや掲示板等において掲示することにより関係する従業員等が表示等の根拠となる情報を閲覧できる状態に置く

(6)⑤について

事業者には、表示等に関する事項を適正に管理するため、表示等を管理する担当者または担当部門(これらを「表示等管理担当者」)をあらかじめ定めることが要求されます。

これらの担当者等を定めるに際しては、以下の事項を満たすこととされています。

  • 表示等管理担当者が自社の表示等に関して監視・監督権限を有していること。
  • 表示等管理担当者が複数存在する場合、それぞれの権限又は所掌が明確であること。
  • 表示等管理担当者となる者が、例えば、景品表示法の研修受けるなど、景品表示法に関する一定の知識の習得に努めていること。
  • 表示等管理担当者を社内において周知する方法が確立していること

例えば、以下のような方法が考えられます。

  • 既存の品質管理部門等を表示等管理部門と定め、当該部門において表示等の内容を確認すること
  • 店舗ごとに表示等を策定している場合、店長を表示等管理担当者と定め、店長が表示等の内容を確認すること
  • 売り場ごとに表示等を策定している場合、売り場責任者を表示等管理担当者と定め、その者が表示等の内容を確認すること

(7)⑥について

(7)⑥について

事業者には、表示等に関する情報を表示等の対象となる商品または役務が一般消費者に供給されうると合理的に考えられる期間、事後的に確認するために、例えば、資料の保管等必要な措置をとることが要求されます。

例えば、以下のような方法が考えられます。

  • 製造業者に問い合わせれば確認できる事項について、製造業者に問い合わせができる体制を整えておくこと
  • 表示等の根拠となる情報を記録し、保存しておくこと

(8)⑦について

事業者には、特定の商品または役務に景品表示法違反またはそのおそれがある事案が発生した場合、その事案に対処するため、次の措置を講じることが求められています。

  • 当該事案に係る事実関係を迅速かつ正確に確認すること。
  • 前記①における事実確認に即して、不当表示等による一般消費者の誤認排除を迅速かつ適正に行うこと。
  • 再発防止に向けた措置を講じること。

例えば、以下のような方法が考えられます。

  • 一般消費者に対する誤認排除が必要な場合は、速やかに一般消費者に対して

3 おわりに

3 おわりに

以上見てきたように、事業者が表示を行うに際しては、準拠するべき指針があります。

これらの指針では、実務上の細かい事項なども規定されていますので、企業としては、注意深く対応することが求められます。

指針に関して少しでも疑問がある場合には、弁護士などの専門家にご相談することをおすすめします。

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■この記事を書いた弁護士
弁護士法人グリーンリーフ法律事務所
弁護士 権田 健一郎
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