従業員もしくは元従業員から、会社が未払いの残業代を請求されることがあります。このような場合、次のように対処することが可能です。

1 所定の始業時間よりも前の出社
 始業時間よりも前に会社に出社しても、始業時刻までの時間は労働時間には当たらないと主張できる可能性があります。例えば、始業時間までの間に会議などが予定されていないにもかかわらず、従業員が出社していたという、当事務所が扱った事例において、60万円の減額が認められたケースがありました。

2、事務所外の仕事場への移動時間
 会社の事務所に出勤してから、事務所外の仕事場へ移動する時間も、労働時間に該当しないと主張できる可能性があります。例えば、朝会社の事務所に立ち寄る必要がないのに、事務所に立ち寄っていた時は、自宅から事務所に来て、事務所から仕事場に行くまでの移動時間は、労働時間に該当しないと判断されます。当事務所が扱った事例においても、80万円の減額が認められたケースがありました。

3、休憩時間
 休憩時間は労働時間に該当しません。ただし、休憩時間中に、仕事をしなければならなくなる可能性があるときは、労働時間に該当することがあります。

4、仕事場以外での持ち帰り残業の時間
 従業員が上司から指示を受けていないにもかかわらず、持ち帰り残業をした場合は、持ち帰り残業をしていた時間は、労働時間に該当しないと判断されるのが原則です。よくあるケースとして、従業員が自宅や出張先のホテルでパソコンを使い、上司に業務連絡をしていた場合に、メール送信時刻までが労働時間にあたると主張することがありますが、このような主張については反論をすることが可能です。

5、タイムカードの調査
 一番早くに出社した人が他の従業員の分もまとめてタイムカードを押しているというケースがあります。このような場合、他の従業員に関しては、タイムカードを打刻した時間から所定の始業時間までの時間は、労働時間とはみなされません。当事務所の扱った事例では、100万円の減額が認められたことがあります。