少し前になりますが、法制審議会において、「民法(債権関係)の改正に関する要綱仮案」が決定されました。これは、どのようなことなのでしょうか。
私たちの生活では、ほぼすべての場面で民法が関係しています。
例えば、スーパーで野菜を買うのは売買契約(民法555条)、家を借りるのは賃貸借契約(民法601条など)に該当します。購入後の自宅には自分の所有権(民法206条など)が及び、婚姻(民法731条以下)すれば夫婦の財産関係が決まり(民法755条など)、死亡すれば相続(民法882条以下)が発生します。
このように、実は非常に身近な存在である民法ですが、親族や相続以外の、財産関係を決めている部分の大半は、明治時代に定められて以降ほとんど変化がないのです。
そこで、民法のうち特に「債権」つまり「財産関係を決めている法律のうち、人と人との間の関係」の部分について時代に合った形にするよう法制審議会で検討が続けられていました。その検討結果としての仮案が、上記の、「民法(債権関係)の改正に関する要綱仮案」です。
上記は「仮案」ですので、この内容で確定ではありませんが、概ねこの案の内容で改正されるといわれています。
変更のうち特に重要な点としては、
① 消滅時効 短期のものは一律5年に(従来は、権利によって1年や2年など様々)
② 法定利率 原則3%とし、変動も(従来は、民事5%、商事6%)
③ 保証人保護の方策の拡充
④ 敷金・原状回復ルールの明文化
などです。
今後、正式な改正後に、またご報告したいと思っております。