当社は、ある同族会社の代表取締役から、会社再建のためにと融資をお願いされ、代表者の連帯保証を条件に融資をしました。しかし、その同族会社は、融資の甲斐無く、経営を立て直すことができず、融資してから5カ月後に、会社、代表者共に破産手続をとることになりました。なお、保証料はとっていません。
当社は、会社への貸付金と代表者への連帯保証債権につき、両者の破産手続から配当を受けることはできるのでしょうか。手続的に何か問題はあるでしょうか
代表者自身の破産手続の5カ月前に、代表者が連帯保証をしている点が問題となります。具体的には、代表者による連帯保証が詐害行為に該当すると判断され、否認権(破産法160条)を行使され、配当を受けられない可能性があります。
破産法160条3項により、支払停止もしくは破産手続開始の申立ての後又はその前6か月以内に破産者が行った無償行為は、否認権行使の対象となります。
本件では、代表者による連帯保証は、保証料もとっていないため、無償行為に該当することになります(最高裁判所昭和62年7月3日判決参照)。そして、代表者による連帯保証は、破産手続開始の申立前6カ月以内になされているため、破産管財人により否認権を行使されることになります。したがって、代表者の破産手続から配当を受けることはできません。