単元株制度とは、株式を束ねて一つの議決権と認めるものであり、上場企業等の多数の株式を発行している会社にみられる制度です。このページでは、埼玉県で30年以上、中小企業を中心とする企業法務を扱ってきた法律事務所の弁護士が、単元株を設けるメリットや方法について、ポイントを絞って分かりやすく解説します。

単元株制度とは何でしょうか?

単元株制度とは、株式を束ねて一つの議決権と認めるものであり、上場企業等の多数の株式を発行している会社にみられる制度です。

例)株式を10個持っている 10株で1単元としている株式を20株持っている

 →一株一議決権により   →20株で2単元となり2の議決権がある

  10の議決権がある

単元株を定めることで、議決権を行使するためには、一単元を満たすだけの株式を保有していなければならず、一単元に満たない株主は、議決権が認められないことに特徴があります。

会社法を見ておきましょう。

(単元株式数)

第百八十八条 株式会社は、その発行する株式について、一定の数の株式をもって株主が株主総会又は種類株主総会において一個の議決権を行使することができる一単元の株式とする旨を定款で定めることができる。

2 前項の一定の数は、法務省令で定める数を超えることはできない。

  →会社法施行規則 第三十四条

法第百八十八条第二項に規定する法務省令で定める数は、

千及び発行済株式の総数の二百分の一に当たる数とする。

3 種類株式発行会社においては、単元株式数は、株式の種類ごとに定めなければならない。

(単元未満株式についての権利の制限等)

第百八十九条 単元株式数に満たない数の株式(以下「単元未満株式」という。)を有する株主(以下「単元未満株主」という。)は、その有する単元未満株式について、株主総会及び種類株主総会において議決権を行使することができない。

2 株式会社は、単元未満株主が当該単元未満株式について次に掲げる権利以外の権利の全部又は一部を行使することができない旨を定款で定めることができる。

一 第百七十一条第一項第一号に規定する取得対価の交付を受ける権利

二 株式会社による取得条項付株式の取得と引換えに金銭等の交付を受ける権利

三 第百八十五条に規定する株式無償割当てを受ける権利

四 第百九十二条第一項の規定により単元未満株式を買い取ることを請求する権利

五 残余財産の分配を受ける権利

六 前各号に掲げるもののほか、法務省令で定める権利

3 株券発行会社は、単元未満株式に係る株券を発行しないことができる旨を定款で定めることができる。

(議決権の数)

第三百八条 株主(株式会社がその総株主の議決権の四分の一以上を有することその他の事由を通じて株式会社がその経営を実質的に支配することが可能な関係にあるものとして法務省令で定める株主を除く。)は、株主総会において、その有する株式一株につき一個の議決権を有する。ただし、単元株式数を定款で定めている場合には、一単元の株式につき一個の議決権を有する。

単元株制度のメリットとは?

単元株を設けるメリットは、一般に、株主管理コストの削減という会社側のメリットがあります。特に上場企業の場合、多数の株式が存在し、零細な株主まで議決権を含む共益権を与えると、株主総会の招集等で膨大な手間や費用が発生し得ることから、一定以上の株式を有するものにしか議決権を与えない単元株制度に価値が見いだされることになります。反対に、閉鎖的な会社の場合には、特にメリットは乏しいということになります。

なお、一単元の株式数には上限があり、1000株を超えることはできません。また、それ以下であっても、発行済株式総数の200分の1を超えることができません。これは、大株主が自分に都合よく、自分よりも少ない株式をすべて単元未満としてしまうことを防止する趣旨です。

単元株制度を導入するためにはどうすればよいか?

では、単元株制度の導入をするにはどうすればよいかを解説しますと、定款を変更する必要があります。その際、取締役は、株主総会において、単元株制度の採用を必要とする理由を説明しなければなりません。

定款を変更する場合には、株主総会の特別決議が必要です。

会社法を見ておきましょう。

(理由の開示)

第百九十条 単元株式数を定める場合には、取締役は、当該単元株式数を定める定款の変更を目的とする株主総会において、当該単元株式数を定めることを必要とする理由を説明しなければならない。

第四百六十六条 株式会社は、その成立後、株主総会の決議によって、定款を変更することができる。

(株主総会の決議)

第三百九条

2 前項の規定にかかわらず、次に掲げる株主総会の決議は、当該株主総会において議決権を行使することができる株主の議決権の過半数(三分の一以上の割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の三分の二(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上に当たる多数をもって行わなければならない。この場合においては、当該決議の要件に加えて、一定の数以上の株主の賛成を要する旨その他の要件を定款で定めることを妨げない。

十一 第六章から第八章までの規定により株主総会の決議を要する場合における当該株主総会

単元未満株式の買取請求権

最後に、単元未満株主の会社に対する株式買取請求権についてご説明します。

会社法192条、155条7号、189条2項4号。

単元未満株主は、会社に対し、単元未満株式の買取を求めることができます。

その買取価格については、市場価格のある株式であれば、請求日の最終の市場価格に相当する額とされ、市場価格のない株式であれば、譲渡制限株式の会社による買取請求がなされたのと同様に考え、算定される額となります。

会社法193条参照。

ご相談
グリーンリーフ法律事務所は、設立以来30年以上の実績があり、17名の弁護士が所属する、埼玉県ではトップクラスの法律事務所です。 企業が直面する様々な法律問題については、各分野を専門に担当する弁護士が対応し、契約書の添削も特定の弁護士が行います。企業法務を得意とする法律事務所をお探しの場合、ぜひ、当事務所との顧問契約をご検討ください。
  ※ 本コラムの内容に関するご質問は、顧問会社様、アネット・Sネット・Jネット・保険ネット・Dネット・介護ネットの各会員様のみ受け付けております。

■この記事を書いた弁護士

弁護士法人グリーンリーフ法律事務所
弁護士 時田 剛志

弁護士のプロフィールはこちら