紛争の内容
ご依頼者の方は、法人であり、工事中にこちらの過失により物損事故が発生してしまったところ、その相手方から過大な修理費用を請求されておりました。
そこで、そうした方への対応を行うべく当事務所へご依頼を頂きました。
裁判外ではなく、こうした過大請求への対応を行うために示談交渉を行うべくご依頼をいただきました。

交渉・調停・訴訟等の経過
工事中の事故であり、ご依頼者の方に幾ばくかの過失があることは明白な状態でした。
その点は、ご依頼者の方もご承知でしたため、事故と因果関係のある範囲では賠償を行う必要がありました。
しかしながら、相手方から請求されていた金額は、法的に認められるべき範囲を超えているものであり、いかにこちらに過失があろうとはいえ、こうした法外な費用を支払う必要はありません。
そこで、適切な損害を算出し、その部分だけ賠償を行うという方針で活動を行いました。
まずは事故現場や事故車両の調査し、適切な損害についてこちらが見積もりを算出いたしました。
そうした見積もりを相手方へ提示しましたが、このような費用で本件を終わらせることはできないということでした。
しかし、いかに相手方が過大な賠償を請求しようとも、法的に認められる範囲を超えて支払いを行う必要はないため、それには応じることができないとして、交渉を続けました。
相手方の求める賠償額と、こちらが算出した適切な賠償額の間には、およそ10倍近い差がありました。

本事例の結末
最終的に、こちらが算出した費用での賠償での示談が成立しました。
当初、双方の主張には10倍近い差がありましたが、これには一切応じられない姿勢を示したところ、こちらの提示した額で合意ができました。

本事例に学ぶこと
昨今、消費者や顧客からの過大な請求がなされるという事案は社会問題にもなりつつあります。
こちらに一定の過失などがある場合、確かに賠償に応じる必要はあります。
しかし、賠償に応じる額はあくまでの法的に認められる範囲である必要があります。
法律上、負うべき義務は対応すべきですが、それを超えて対応すべきではありません。
仮に法的な義務を超えた範囲での賠償を行ったとしても、そのあとの請求がなされる可能性があります。
いかに相手方が強硬な態度であったとしても、対応すべきものは対応すべきですが、法的に対応すべきでない請求に対しては毅然とした態度で対応する必要があります。

弁護士 遠藤吏恭