紛争の内容
依頼者である被告会社Aの代表者が、別会社Bの代表者も兼務していたところ、別会社Bの従業員を名乗る原告から、別会社Bを突然解雇されたとして、被告会社Aに対し解雇予告手当金等を請求してきたという事案です。
原告は、被告会社Aが別会社Bと別法人であることを利用して、実質的には被告会社Aが別会社Bの資金を流用等していたので、別会社Bの支払うべき解雇予告手当金等は、被告会社Aが負担すべきだと主張してきました。
しかし、被告会社Aと別会社Bは全く別個の法人格で資金流用などしておらず、別会社Bはそもそも休眠会社であって、その上被告会社Aはもちろんのこと別会社Bでも原告を雇用したことは一度もありませんでした。
交渉・調停・訴訟などの経過
原告の主張はいずれも真実ではないため、被告会社Aはいずれも原告の主張を否認し、原告の提出する証拠についてその真正を争い、被告会社Aと別会社Bが別個の法人格であること及び原告が雇用されていない証拠を提出し、原告の主張の不合理さ・不自然さを指摘し続けました。
本事例の結末
判決にて、被告会社Aが別会社Bの資金を流用していたなどの濫用行為がなかったと認められたため、被告会社Aの完全勝訴となりました。
本事例に学ぶこと
本件は原告がありもしない事実に基づき請求をするという、不当訴訟の類型に当たると思われるため、和解などの検討は一切せず、原告の主張・証拠の不自然な点の指摘に終始しました。
ある事実が、『ない』ということを証明することは「悪魔の証明」と言われており、法人格を濫用していること・雇用関係があることなどは請求者たる原告側に主張・立証責任があるとされるところ、被告会社側も原告側の主張の矛盾点などをつぶさに見ることの大切さを改めて認識しました。