会社が破産する原因が、ある取締役が競業他社に移籍したことによる売上不振なのですが、賠償請求できますか
取締役は、会社に対し、善忠実義務を負っており、その一環として、取締役の地位や権限により、会社の営業に関して知り得た知識等を利用して競業行為を行うことは禁止されています(会社法356,365条)。
しかし、退任した取締役には、職業選択の自由があるため、特約が無い限り、原則として、競業避止義務を負いません。そのため、退任後に移籍した場合には、賠償請求は基本的には困難です。
ただし、在任中に既に競業他者への移籍の準備を行っていたような場合には、競業避止義務違反となり得ますし、会社への加害意図がある場合や悪質な態様による場合など、自由競争の範囲を逸脱するような背信的行為があれば違法行為と評価される可能性があります。このような場合には、賠償請求できる可能性があります。
そして、破産手続開始後は、破産管財人に財産の管理処分権は専属するので、破産管財人が主体となって請求することになります。