会社が破産する場合、会社が貸している店舗の賃貸借契約はどうなりますか。
破産管財人は、賃貸借契約を継続するか解除するか選択することができるのが原則です(破産法53条1項)。
しかし、賃貸人が破産する場合、賃借人側に①賃借権の登記がある場合、②賃借人が店舗建物の引渡しを受けている場合などは、破産管財人はこうした賃貸借契約を解除することはできません。
従って、上記①②のような賃貸借契約は継続されますが、当該店舗を売却するにあたり、賃貸借契約を終了させた方が有利という場合には、適正な立退料の支払いをすることも含め、合意解約を検討します。
更に、賃貸店舗に抵当権が設定されている場合、抵当権者は破産手続きに縛られることなく、不動産の競売申立て等ができます。平成16年4月1日以降に締結された賃貸借の場合、賃借人は競落人に対して賃借権を主張できず、原則として買受けから6ヶ月間は引渡しを猶予され、その後は賃借権を失います(民法395条・平成16年3月31日以前の契約については、それが3年以下の期間を定めた建物の賃貸借契約である場合、競落によってもその賃借権は保護されます)。
そこで、破産管財人は、賃借権の消滅を防ぐため、抵当権者と協議し、店舗を第三者に任意売却して、買主に賃貸借契約の賃貸人の地位を承継してもらうこともあります。