回答
アパートの賃借人が、室内で死亡していることが分かりました。賃借人には、別居中の妻と1人の子がいることが分かったのですが、両名とも相続放棄をするとのことです。
① 相続放棄をした場合、次の相続人をどのように確認すればよいでしょうか。
② 相続人が全員放棄した場合は、室内の家具などの賃借人の荷物は、どのようになるでしょうか。

質問
①について
妻と子が相続放棄した場合には、直系尊属(父母や祖父母)が相続人となり、直系尊属もない場合は、賃借人の兄弟姉妹が相続人となります。これらを確認するには、戸籍を追跡することになります。一般に、債権者であることの証明をすれば、戸籍の取得は可能かと思います。

②について
この場合には、適法に室内の家具などを撤去するためには、裁判所に、相続財産管理人の選任を申し立て、選任してもらうことが必要になります。選任後に、相続財産管理人から室内動産の撤去承諾を得るか、承諾してくれない場合には訴訟で明け渡しを求め、勝訴判決に基づいて強制執行をすることになります。
ただ、相続財産管理人の選任には、一般には100万円程度の予納金を裁判所に納めることが必要になります。

そこで、相続人すべてが相続放棄してしまい、賃借人の荷物があることで明け渡しができないという場合には、賃借人の相続財産を相手方として明け渡し請求訴訟を提起し、特別代理人の選任を求める、という方法も考えられます。
この特別代理人というのは、相続財産管理人の選任までは必要ないものの、相続放棄によって裁判をする必要がある場合に、相続人に代わって裁判を担当する弁護士などで、今回の件で言えば、明け渡し請求訴訟を受け付ける裁判所が選ぶことになります。