質問
管理組合総会の出席、委任状、議決権行使書が少なく、毎回決議に必要な最低ラインの数しか集まらないマンションがあります。
あるマンションでは、管理組合・管理会社からの督促にもかかわらず出席、委任状、議決権行使書の提出しない組合員は、金銭ペナルティ、または議案に賛同したものと見なすという規則があります。
このような方針決定は管理組合の運営上いかがでしょうか。

回答
結論から申し上げますと,「マンションの管理組合総会の欠席や,委任状・議決権行使書の不提出につき,ペナルティまたは議案への賛同を見なす規則は,無効となる可能性が高い」と考えます。
本件マンション管理組合の問題意識のとおり,区分所有者数及び議決権の定数に達しないことは意思決定の停滞を招くもので,深刻なものといえます。しかし,「欠席等は議案に賛同したものとみなす」とすることは,区分所有法が細かく定めている集会議事についての規定を空洞化してしまうものです。

また,金銭ペナルティに関しても,最高裁平成22年1月26日判決(居住組合員と非居住組合員の間の負担の差に鑑みて,非居住組合員に『協力金』を課すことは区分所有法上も違法ではないとされた事案)の場合に比して,合理性を欠く負担であるように思われます。つまり,議決権の行使は「義務」ではなく,法律上も「議決権は,書面で…行使することができる」という「権利」の形でしか規定がありませんし,上記最高裁の事例のような「負担」を居住者組合員だけが負っている・それに反して居住組合員の努力の結果を非居住組合員も「享受」してしまっている…というケースとは明らかに異なると考えられます。