製造物責任法：製造物責任を負わない旨の契約

質問
Ａ社のOEMとして、ある製品の製造を行っています。Ａ社はこの製品を韓国で販売することを予定しているようです。弊社でPL保険について調査しましたが、費用・リスクを考えると海外販売対応は難しいのではないかという結論に至りました。
しかし、Ａ社は韓国での販売を進めるという方向で事業計画を立てており、もし韓国で事故が発生した場合、弊社に対しては責任を求めないと言ってきました。

①　Ａ社との間で、弊社が責任を負わないという契約を結ぶ場合、どのような内容がよいでしょうか。
②　Ａ社との間で①のような契約を結んだ場合に、弊社の責任回避は可能でしょうか。

回答
１　①について
貴社が、欠陥ある製品を、そのことを知りながらＡ社に売り渡したというような事情がない限り、Ａ社がすべての責任を負うという契約は有効です。その内容としては、その製品の売買契約書、ＯＥＭ供給契約書などで、責任を負わない製品を特定した上で、どのような場合に責任を負わないかをできるだけ具体化し、その他、一切の場合に責任を負わないというような形になると思います。

２　②について
上述のとおり、Ａ社との関係では責任を回避することが可能ですが、それはあくまでも貴社とＡ社の内部の問題であり、消費者との関係はあくまでも、韓国のＰＬ法ないし民法などで決まります。
貴社もＡ社もＰＬ法上の要件を満たしているのであれば、製造物責任を負い、韓国の消費者は自由にどちらを追及してもよいことになります。ただ、貴社が消費者に対して支払いをした場合は、上記の契約によって、その金額をＡ社に請求できることになります。
ただ、Ａ社が支払いをしない場合は、Ａ社に対して訴訟を起こさなければなりませんし、また、Ａ社に資力がない場合は、結局Ａ社から支払いをしてもらえないという事態もないとは言えません。