質問
下請法の対象となるサプライヤーに対して発注書を発行する際に、発注書に「単価については別紙単価決定通知書を参照」とし、単価決定通知書は発注後、サプライヤーへ送付されることになっています。
このやり方に問題があるでしょうか。
回答
下請法上、発注の際には、原則として、下請代金の額(又は算定方法による記載)が必要的記載事項とされております(3条書面)。
この場合に、例えば、単価欄に具体的金額を書かず、「別途平成●年●月●日付け単価表による」等と記載することも差支えないと解されます(鈴木満「新下請法マニュアル」136頁参照)。このように、別紙を用いる場合には、書面相互の関連性を明らかにしておく必要があります。
発注後の単価決定通知書の送付についてですが、下請法上、親事業者には、発注に際して、下請代金の額を記載している書面を直ちに下請事業者に交付する義務があります。
したがって、下請代金の額が記載された書面の交付時期としては、別紙であっても、発注時に交付するのが原則です。
一方で、発注の時点で下請代金の額を定められない「正当な理由」(3条1項ただし書)が認められる場合には、その記載を要しないことも例外的に認められます。
「正当な理由」がある場合とは、取引の性質上、委託した時点で下請代金の額を定めることができないと客観的に認められる理由が必要ですので、取引価格を決定できるのに決定しない場合には、「正当な理由」は認められません。
「正当な理由」が認められる例としては、例えば、製造委託において、親事業者はその基本性能等の概要仕様のみを示して委託を行い、下請事業者が持つ技術により詳細設計を行って具体的な仕様を決定していく場合などが紹介されています(下請法テキスト26頁参照)。
なお、この場合には、内容が定められない理由(「ユーザーの詳細仕様が未確定であるため」など)及び内容を定めることとなる予定期日を当初書面に記載しなければなりませんので、注意が必要です。