質問
下記の文章は、下請法の観点から問題ないでしょうか。
「売主と買主の契約期間中に、同品質で、より安価な製品を買主が発見した場合、その価格を提示し、同じ値段で取引を行うことを提案することができる。その場合、売り手が3か月以内に、この値段で取引することを提案しなかったときは、買主は他社へ発注を切り替えることができる。」
回答
下請代金の減額の禁止に当たらないかが問題になりますが,この規定に抵触しないものと考えます。
同規定では,下請事業者に責任がないのに,3条書面(発注書面)に記載した下請代金を全額支払わないことが問題とされます。
もし仮に,契約期間中の減額交渉を経て,減額した金額で合意ができたとして,その合意を,既に発注している内容にまでさかのぼって適用する場合には,違反行為事例となります。
しかしながら,将来に向けた下請代金の減額交渉自体が禁止されているわけではありませんので,価格交渉の折り合いが付かなかった場合に,契約期間満了後,他社との契約に切り替えることが直ちに下請法違反になることはないと考えます。
なお、下請法とは別の問題ですが、このように「他社に発注を切り替える権利を有する」と規定しても、下請先が、取引の開始にあたり大きな投資をしている、契約期間が長期間(たとえば10年以上)続いているという場合、いわゆる継続的な契約にあたると判断され、取引を中止する(他社に発注を切り替える)には「やむを得ない理由」が必要とされ、このような理由がないのにかかわらず、取引を中止した場合、損害賠償などの問題が生じる場合はあり得ます。